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アイテム/トップス 作者名:ぼんたん 配布形式:公式 備考: 関連するアイテム:体操服 黒シャツ
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一般人が遠坂凛と言う少女を比喩する言葉を探した場合、一番相応しい言葉は才色兼備だろう。 可憐な容姿、明晰な頭脳、優れた運動神経、何をやらせても卒なくこなせる多方面への才能。 それに加えて、典雅流麗たるその立ち居振る舞い。異性からの好意を一纏めにするだけでなく、同性からも憧れの対象と見做される程の、優等生であった。 魔術師が遠坂凛と言う少女を評価した場合、天才以外の評価は下しようがないだろう。 一属性操れるのが普通、二属性も扱えれば上等な魔術師の世界にあって、五つの属性全てを平均的に扱えるアベレージ・ワンと言う才能を持った彼女は、 誰が文句を吐けようかと言う程の超一級の天才児だ。魔術回路の数も胸を張って自慢出来る程多く、家格も魔術師の世界では広く名が知れている。 遠坂凛はとどのつまり、表舞台の世界でも、一般人から見れば裏の世界と言ってもいい魔導の世界に於いても、極めて優秀な人物なのであった。 いつか来るであろう聖杯戦争に向けて、独自のルートから宝石を仕入れていた時の事である。 遠坂の魔術師は転換、特に宝石を用いた魔術を得意とする一族。魔力を移し、溜めておくのも宝石なら、攻撃に用い、儀式の触媒とするのも宝石である。 所謂宝石魔術と呼ばれるそれを操る魔術師は兎に角宝石を掻き集めなければならない。当然タダではない。 純度の高い宝石を仕入れる以上、莫大な金が入用になる。宝石魔術を生業とする魔術師は、兎に角収入と金策の管理をしっかりとし、余計な出費を抑えねばならない。 当然遠坂凛も、その常道に外れていない。なるべくなら安く、それでいて質の高い宝石はないかと目を光らせてはいるのだが、実際そんな美味い話などある筈もなく。 結局、値段が安い宝石と言うのは、それ相応の質と純度しかないのだ、と言う当たり前の現実をまざまざと見せつけられるだけだった。……あの日までは。 遠坂家が代々贔屓にしている『そっちの筋』の宝石商が持って来た宝石の中に、純度・質共に、今まで見た事もない程見事なサファイアで出来た鍵があったのだ。 それの出所が気になった凛は、如何なる代物なのか宝石商に聞いて見た所、スコットランドのピトロッホリーに広がる荒野で拾ったのだそうだ。 こんな上物をただで拾うなど、何と運の良い商人であろうか。凛はこの鍵が気になった。このサファイア、ただクオリティが高いだけではない。 凛が目を付けたその時点で、既に莫大な魔力を有していたのだ。さぞや高い値段で売り付けるつもりなのだろうと思い、商人に値段を聞いて見た所、これが安い。 正味数千万、事によっては億の額は堅い、このサファイアで出来た鍵を、商人は百万ぽっちの値段で捌こうとしていたのだ。 本人曰く、宝石商の勘が、この鍵は不吉極まりない代物だと警鐘を鳴らしているのだとか。凛は構わずこの宝石に食いついた。 これだけの代物、今自分が抑えておかねば、宝石魔術を専門とする魔術師でなくとも手を伸ばすのは自明の理。 それに魔術師が、曰くつきの代物を怖れるなど笑止千万。宝石商からその鍵を即決価格で買い取り、我が物としたのである。 ――神が遠坂凛と言う少女に対して課した運命を言い表した場合、一番相応しい言葉は『過酷』だろう。 彼女が手にしたその鍵こそが、数か月後に冬木の街にて起こる聖杯戦争とは違う、別の世界の聖杯戦争への片道切符である事を知っていたのならば。 凛はその宝石鍵をツンと無視したであろう。宝石商がスコットランドの荒野で拾ったその宝石の名前は、サファイアで出来た宝石細工ではなく契約者の鍵。 遠坂凛が生きていた世界とは別の世界へと赴く為の、彼が商っていた宝石の正体なのであった。 ◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆ 遠坂凛は単刀直入に言って、相当困惑していた。 一地方都市である冬木市から、日本の首都東京の新宿区……ではなく、 新宿 に何故か転送された事もそうである。 この 新宿 が凛の知る新宿区ではなく、元いた世界の新宿とは全く異なる歴史を歩んでいるという事もそうである。 目玉が飛び出る程に地価の高い神楽坂の一等地に、冬木の街に居を構えていた遠坂邸が寸分たがわぬ外観と内装で建てられていた事もそうである。 だが一番の当惑の原因は、恐らくは並行世界の新宿区と思しきこの場所で、聖杯戦争が開催されていると言う事実の一点に他ならなかった。 脳内に刻み込まれた聖杯戦争への知識及び、その舞台となる 新宿 の知識が、凛の脳髄に刻まれていた。 特に聖杯戦争に関する知識は、冬木で学んだそれとほぼ同じそれ。聖杯戦争に参加し、聖杯を勝ち取る事は父の代からの遠坂の悲願だ それに対して参加する事自体に、不満はない。――問題は、冬木の聖杯戦争ではなく 新宿 の聖杯戦争である事だ。 つまりそれは、今までシミュレートして来た、冬木での聖杯戦争でどう立ち回るかと言う計画が、全て水泡に帰してしまった、と言う事を意味する。 聖杯戦争において聖杯を勝ち取ったり、聖杯を例え取れなくても無事生き残ったりする為には、サーヴァントの優秀さが明暗を分けると言っても過言ではない。 無論マスター自体の優秀さも勘案されるべき事柄なのではあるが、しかしそれは、優れたサーヴァントを引き当てているか、と言う事実の前では瑣末な事。 例え 新宿 で行われる聖杯戦争であろうが、サーヴァントを宛がわれる、と言う根幹は全く変わらない。つまりここでも、サーヴァントの強さは最も大きいファクター。 遠坂凛は優れた魔術師である。そんな彼女の下へとやって来るサーヴァントだ。きっと優秀な存在に違いない。……違いない。 「えーっと、貴女が私のサーヴァントですか?」 「私はマスター!!」 「そうでしたか」 「私は遠坂凛よ……私は優秀な魔術師……、だから私の引き当てたサーヴァントは優秀なのよ優秀……」。 恐い位の勢いで心の中でそう念じ、自己暗示する凛であったが、とてもではないが目の前にいるサーヴァントが、優れたサーヴァントである風には、見えなかった。 アイロンなど全くかけていないのだろう、よれよれの礼服を着用した、百九十は堅いであろう大柄で、骨太の体格の男だった。 彫りの深い端正な顔立ちをした男だが、切れ長の瞳は何処か眠たげで、間抜けな印象を凛に与える。 床屋や美容院などで髪を切らず、自分で散髪しているのだろう。男の髪は、一目見て解る、左右不均等でかっこの悪い髪型であった。 とてもではないが優れたサーヴァントには……いや、訂正しよう。 優れている風には、見えない。見えないのだが同時に、この男を見ていると凛は、底知れぬ不安感に覆われるのだ。 何が面白いのかは知らないが、淡い笑みを浮かべて此方を見下ろすこの大男は、ひょっとしたら引き当ててはいけない存在だったのでは、と。凛の直感は告げていた。 「……で、よ。貴方のクラスを教えてくれるかしら?」 強いサーヴァントを引き当てるのは勿論の事だが、それと同じ位に大事なのが、そのサーヴァントのクラスである。 呼び出されたクラスによって、聖杯戦争とどう付き合って行くかが大きく変わって行く。 ただ単に強いサーヴァントを引き当てて、片っ端から喧嘩を売って行くと言うスタイルでは駄目なのだ。そのクラスにあった運用法を無視すれば、最悪格下にすら不覚を取りかねないのだから。 「確か私は、バーサーカーでしたか」 最悪だ、と凛は思った。バーサーカー、つまりは狂戦士のクラスだ。 あわよくば最優のクラスであるセイバー、妥協点でアーチャー・ランサー、ライダーが欲しかった凛にとっては、頭の痛くなる現実である。 バーサーカーとは理性や言語能力を失わせる事で、弱い英霊を強化する為のクラス。これまでの聖杯戦争でバーサーカーを引き当てた魔術師は、 結局は彼らを御し切れずに自滅してしまったケースが殆どである。こう言う過去の事例を知っていたからこそ、凛は最優のクラスであるセイバーが―― 「……あれ?」 このバーサーカーとどうやって聖杯戦争を付き合って行くか、右脳左脳をフルスロットルで回転させていた凛であったが、ふと気づいたのだ。 「貴方、何で喋れてるの?」 バーサーカーとは先述したように理性と言語能力を引き換えに強さを得るクラスなのである。 故に、通常彼らはマスターとコミュニケーションが取れない傾向にある。なのに、何故このバーサーカーは、言葉を喋れて、理性の喪失が全くないのか? 「そう言う事もあるのではないのでしょうかな?」 考える素振りも全く見せずに、バーサーカーが返事をする。 考えるのが面倒くさいだけなのか、それとも理由を隠しているのか。……もしかすると、本当に自分でも解っていないのか。 それは凛には解らない。が、今はそれでも良いかと考える事にした。引き当てたサーヴァントはバーサーカーだが、言葉を交わせるとは言うのは大きいアドバンテージ。 その一点だけでも、凛は良しとする事にした。 「それで、バーサーカー。貴方の真名を教えてくれるかしら」 「真名……あぁ、名前の事ですな。黒贄礼太郎です」 先ず思ったのは、日本の英霊なのかと言う事であった。 脳裏に刻まれた聖杯戦争への知識によると、宛がわれるサーヴァントは洋の東西の英雄や猛将と言った存在だけでなく、別の世界の強者も呼ばれうるらしい。 凛の引き当てたこの黒贄と言う男も、その類なのであろう。 「黒贄……ね。解ったわ。私の名前は遠坂凛。苗字と名前、好きな方で呼んでも良いけど、相手のサーヴァントの前ではマスターで通して頂戴」 「ほほう、遠坂ですか」 「あれ、もしかして……遠坂の家名って、異世界にも轟き渡ってたりとか?」 「いえ、初耳ですな」 思わず前のめりにずっこけると言う、一昔前のコミック的表現を体現してしまいそうになる凛。 期待させる様な口ぶりしないでよ、とジト目で黒贄の事を睨めつけるが、彼は意にも介していなかった。 「取り敢えず、バーサーカー。早速だけれども、今後の事を話し合うわよ」 「遠坂さん、私の名前はバーサーカーではなく黒贄礼太郎です」 「馬鹿ね、聖杯戦争ではクラス名で呼び合うのが当たり前なのよ。貴方の真名が露見して、弱点が知れ渡ったらコトでしょ?」 「ははあ、そう言うものなのですか」 ――もしかして、不安の正体とはこれか? と勘繰る凛。 このサーヴァント、聖杯戦争の戦略上まず考えられる事由について、あまりにも無知である。 幾らなんでもこの程度の事すら考えられないようでは、自分のサーヴァントとしては余りにも不出来である。凛は試しに、黒贄に対して質問を投げ掛けようとする。 「バーサーカー」 「遠坂さん、私の名前は黒贄ですよ」 「……黒贄」 変な所で律儀な男である。自分の調子が狂うのを凛は感じた。 「聖杯戦争の目的とか、貴方、しっかりと解ってるのよね?」 「もちろん。其処は勉強しましたから」 「流石にその点は大丈夫よね」 「ええ、殺人をしても問題がないなんて、素晴らしいですよね。殺人鬼魂が疼きますよ。戦争、と言う名前が少々アレですが、規模から言って戦争と言うよりは小競り合いのような物ですし、まぁ良しとしましょう」 「んんん~?????」 致命的な話の噛み合わなさに、凛は間抜けみたいな表情を作ってしまう。 同じ国の言葉を話し、難しい言葉も言い回しも用いていないのに、何故だろう。言葉のキャッチボールが全く出来ていないと言う感触が、否めないのだ。 急速に嫌な予感を感じ取った凛は、恐る恐る口にして見る。 「バーサ……黒贄?」 「なんでしょう」 薄い微笑みを崩しもせずに、黒贄が訊ねる。 「聖杯戦争が何を目的としているのかは、解るわよね? 貴方の言う通り、人を殺す事も当然あるけれど、最大の目的は聖杯を手に入れる事よ?」 「成程、聖杯ですか」 「それ位は流石に解るわよね」 「いえ、初耳でした」 ――今度こそ前のめりにずっこけた。 「おや、立ち眩みですかな?」、凛が今直面している、事態の深刻さとは裏腹に、黒贄は実に間の抜けた声色で凛に声を掛けて来た。 「せ、聖杯も知らないサーヴァントって……」 よろよろと立ち上がり、近くにあった椅子に腰かけ、何とか言葉を紡ぐ凛。 そもそもサーヴァントと言うものは、聖杯に何か願うところがあるか、現世で何かしら成したい事があるからこそ、聖杯戦争の舞台に呼ばれるものなのではないのか? このサーヴァントが聖杯戦争のセオリーから外れた存在なのか、はたまた、 新宿 の聖杯戦争そのものが異常なのか。 どちらにせよ、冬木で学んできた聖杯戦争の常識は、一部通用しない所がある、と見た方が良いだろうと凛は結論を下した。今怒鳴るには、尚早が過ぎる。 「黒贄……、聖杯って言うのは、どんな願いでも叶えてくれる器の事よ」 「ははあ、凄いものもあるのですねぇ」 「……欲しくないの?」 黒贄の言葉には、聖杯に対する執着心がこれっぽちも感じられない。そういうものもあるんだなぁ、程度の感慨しか受け取る事が出来ないのだ。 「逆に問いますが、凛さんは聖杯が欲しいのですかな?」 「えぇ。聖杯を手に入れる事は、遠坂の悲願だから。だからその為には、貴方の力が必要なの」 「ふうむ、それはつまり、依頼と言う事で宜しいのですね?」 「そうなるわね」 「解りました。では、依頼料の方を……」 「お金取るの!?」 思いもよらない提案に、およそ優雅を家訓とする遠坂家の女性らしからぬ声を上げてしまう。 何かしらの生贄や代償、供物を求めるサーヴァントと言うものも、ひょっとしたら呼び出した存在次第ではありうるかもしれない。 しかし、現代に流通している貨幣や硬貨となると、話は別だ。余りにも価値が違い過ぎる。もしかして本当に、凛が生きている時代と、ほぼ同じ時代の英霊なのかも知れない。 「探偵ですからな、ただで仕事は受けませんよ」 「探偵だったんだ……」 正直、見えない。ボケっとしていてそうで抜け目も隙もない、と言うのが世間一般の探偵のイメージであるが、この男は正直隙だらけだ。 サーヴァントではあるが、凛ですら、黒贄がちょっと向こうを向いている間に殺せそうな、弛緩した空気しかこの男は醸し出していなかった。 「それで……いくら払えば良いのかしら? 二百万円で足りるかしら」 「ではそれで行きましょう」 「(いいんだ……)」 聖杯戦争の危険性を考えたら、二百万円どころか、遠坂家の全財産のみならず自分の身体すら要求されるものかと凛は危惧したが、そんな事はなかったらしい。 尤も、一千万以上の額を要求されたら、その瞬間凛は、令呪を用いて黒贄を御していたのだが。 二百万。決して安い金ではないが、凛がいつも用意している宝石の値段に比べればまだ許容出来るのであった。 「報酬の方は後払いとかで、大丈夫?」 「結構ですよ。そう言った依頼人も多いですから。では改めて、依頼の方は聖杯、と言う物の捜索で、宜しいですかな?」 「えぇ、問題ないわ」 「了解しました。それでは、この箱の中から選んでください」 言うと黒贄は、何処からか立方体の箱を取り出して、凛の前に差し出した。箱の上面には、丸い穴が空いている。余裕を持って手を入れられる周径の穴だった。 穴を覗いてみると、折り畳まれた紙片が幾つも入っており、まるでくじ箱のようだと凛は思った。 いつの間にこれを取り出したのか、と一瞬疑問に思ったが、相手はサーヴァントである。それ位の不思議は、まだまだ許容範囲だった。 言われた通り穴の中に手を入れ込み、適当に紙片を一つ摘まみ、それを開いてみる。9番、と言う数字が書かれていた。 「ほう、中々くじ運がよろしいですな」 「あら、そう?」 「えぇ、そうですよ」 黒贄はそう言って、右腕を高々と掲げると、彼の右手の周りの空間が、水のように揺らぎ始め、そして、歪み始める。 空間の変化からゼロカンマ三秒程経過した後、黒贄の右手に、ある物が握られていた。 やや湾曲した薄い刀身を持った、刃渡り五十cm程の剣。峰の部分はギザギザとした鋸状で、切ると言う行為と引き切ると言う行為の二つを行える代物だった。 凛は知らないが、この剣はマチェットと言い、中南米の国民が農作業や山作業の時に使う山刀なのである。 突如としてこんな物を出されて驚く凛だったが、よくよく考えればサーヴァントが武器を持つのは当然の事ではないか。 聖杯戦争はサーヴァントを呼び出した時点で、既に始まっているものと見るのが道理。 であるならば、自分のサーヴァントである黒贄が、武器を持ち、警戒に当たるのは寧ろ良い事であろう。 イレギュラーな事態が連続しているとは言え、結局 新宿 の聖杯戦争も、聖杯戦争の基本からブレていない。 凛は聖杯戦争に関する事柄について勉強し、この日の為に魔術の腕を磨く鍛錬をサボった事など殆どなく、その腕前も実に見事な程にまで成長した。 これらの点において凛は、他参加者より一歩所か何十歩も先んでた所にいると言っても良いのだ。 理はまだ此方にある。例え引き当てた存在がバーサーカー、しかもやや常識知らずのサーヴァントとは言え、こちらの優位性がまだ揺らいだ訳じゃないのだと。凛は思い直したのだった。 「では、調査に行きましょうか、凛さん」 「調査って……聖杯の? 聖杯は他のサーヴァントを全員倒さないと……」 と、此処まで言って、考えた。どうせ黒贄に言った所で無駄だろうと。 それに今の凛は、聖杯の調査など無駄だと解っていても、遠坂邸の外を歩いてみたくなったのだ。 理由は単純明快。彼女は 新宿 の地理に全く疎いからである。見知った冬木の街ならばいざ知らず、今まで足も踏み入れた事のない東京。 しかも、本来の歴史とは異なる歴史を歩んでいる 新宿 で行われる聖杯戦争なのだ。万難は、可能な限り排しておきたい。 土地鑑が弱かった為に負けました、など、笑い話にもなりはしない。だからせめて、自分の家の周りだけでも、見ておきたかったのだ。 「――いえ、解ったわ黒贄。一緒に調査に付き合うわ」 「解りました。それでは」 言って黒贄は霊体化を行い、物質的な肉体を持たなくなった。 このような機会で東京の街に訪れる事になろうとは凛も思いもしなかったが、この現実、最早受け入れる他はなかった。 これから行われる戦いが凛の知る聖杯戦争であるのならば――彼女も手を抜かない。開催時期が早まり、開催地が違ってしまっただけだと思う事にした。 ツカツカと歩いて行き、黒贄と今まで話していた遠坂邸のリビングを後にする。 ――遠坂凛の安息は、この瞬間に終わりを告げた。 ◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆ 靴を履き、外に出る。雲一つとない、晴れ模様。洗濯するにも散歩をするにも打って付けの天気である。 この辺りに住む人間は経済的にも時間的にもゆとりのある人物が多いらしく、普通の人間であれば仕事をしている時間であるのに、のんびりと散歩をしている風の、身なりの良い中年や老年の人物が、道を歩いている。 凛の視界には、見るからに家賃の高そうな、モダン風のマンションが建ち並ぶ光景が広がっていた。 凛が住んでいた冬木市では、少し見られない風景であった。これを見ると、自分は本当に冬木の街とは違う、正真正銘本物の都会にやって来たのだと実感する。 街並みが違う。空気が違う。道路が違う。道行く人が違う。夢でもなければ、幻でもなし。此処は本当に、 新宿 であった。 「こんな状況でなければ……」 ゆっくりと街を観光出来たのに、と、続けようとした時であった。 霊体化した状態で凛の隣で随伴していた黒贄が、いきなり霊体化を解き始めた。 サーヴァントを聖杯戦争の参加者は元より、聖杯戦争に全く関係のない人物―― 新宿 ではNPCと言うらしいが――にすら、見られる事は得策ではない。 理由は単純。目立つからである。特に聖杯戦争のマスター達には、なるべくならその存在を秘匿しておかねばならない。 黒贄の姿は、NPCには「自分の連れ合い」と言う言い訳が通用するかもしれないが、マスターやサーヴァントにはそうも行かない。 「勝手に霊体化を解くな」、と叱りつけようとしたその時だった。 「すいませ~ん」 と、何とも気の抜けるような、本当にサーヴァントかと疑いたくなるような声で、黒贄は凛ではない、道路を行く赤の他人に声を掛けたのだ。 「はい?」 黒贄の声に反応したのは、いかにも人のよさそうな見た目をした、中年の女性であった。 一目見て、聖杯戦争とは何の繋がりもないと解る人物。平和な日常の中に生きている事がありありと見て取れる、ごく普通の一般人であった。 「この馬――」 鹿、と凛が続けようとした、その時であった。 「聖杯と言う物をご存知でしょうか?」 言いながら黒贄は、右手に持ったマチェットを垂直に振り下ろした。 マチェットの刀身は中年の女性の脳天を裂き、そのまま臍まで、彼女の服ごと裂いた。 チーズの様に身体を裂かれた中年女性は、桶をひっくり返した様に血液をたばしらせる。アスファルトを血液の褪紅色が赤く染め上げる。中年女性が前のめりに倒れた。即死だった。 「な、な……?」 パクパクと、酸欠気味の金魚の様に口を開閉させながら、凛が言葉にもならない言葉を呟く。 今の彼女は、遠阪家の家訓たる『常に余裕をもって優雅たれ』から、全くもって程遠い、間抜けな姿をしていた。 「ありゃりゃ」 自らが成した凶行の産物を見下ろしながら、黒贄は、やってしまったと言う風で口にする。其処に、罪悪感など欠片もなかった。 彼はすぐに、道の脇に止めてあったセダン車へと近づいて行く。運転手であろう、年の若い、セールスマン風の男は、黒贄の凶行を目の当たりにしていたらしい。目を丸くし、黒贄と、女性の死体に釘付けであった。 「すいません、聖杯をご存知でしょうか?」 言って黒贄が、マチェットを思いっきり突きだす。 サイドガラスを濡れた薄氷みたいに容易く突き破り、マチェットの剣尖がセールスマン風の男の歯突き破り、そのままの勢いで喉元を貫く。 うなじまで、マチェットの剣身は突き出ていた。それを引き抜き黒贄は、凍り付いたようにその場から動けずにいる四人組へと近づいて行く。 見るからに学生風の四人だった。 新宿 の大学と言えば……この辺りで有名なのはW大だ。恐らくは講義をサボってこの辺りをぶらついていたのだろう。不運だった、としか言いようがない。 「もしもし、聖杯と言う物を――」 今度はご存知とすら言わなかった。既に右腕を横薙ぎに振るっていた。一緒にいた、如何にも今時の服装と髪型をした男の首が跳ね飛ばされ、宙を舞う。 返す刀で一緒に歩いていた女子大生の頬の真ん中より上が地面に落ちた。正確無比に黒贄が、眼鏡をかけた男の心臓をマチェットで貫き、 引き抜いて直に、山刀を袈裟懸けに振り下ろしてやや肥満気味の男の右肩から左腰までを斬った。朱色の線が剣の通った軌道と同じ位置に刻まれており、その線に沿って肥満気味の男の身体がズレて、道路に倒れ込んだ。 「うわぁ殺人鬼!!」 道行く人の一人が漸く、叫び声を上げた。年の割にはカジュアルで、若々しい恰好をした中年の男だった。 「ラララ聖杯さ~ん」 黒贄は風のような速度で、先程叫んだ中年の所へと接近し、山刀で腹を裂いた。「うぐぅ」と言って中年は倒れ伏した。 ――忽ち、平和な一時で満ち満ちていた神楽坂の往来は、蜂の巣を突いたような大パニックに陥った。 悲鳴や金切り声が空気を切り裂く。「警察に連絡しろ!!」と言う至極尤もな怒号が上がる。倒けつ転びつと言った体で、その場から皆逃げようとする。 「ああ~聖杯さ~ん、貴方は~、ど~こ~に~」 最早聖杯の所在を聞く気すら、この男にはなかった。如何にも即興で作ったような歌を口ずさみながら、逃げ惑う人々の下へと凄まじい速度で接近して行く。 マチェットを振り下ろす、セールスマン風の女性の身体が頭頂部から股間まで真っ二つになる。マチェットを横薙ぎに振るう、少年の首が刎ね飛んだ。 マチェットを突き差す。杖を突いて歩いていた老婆の胸部に深々とマチェットが突き刺さる。マチェットの柄で殴る、バイクに乗って逃げようとしていた男のヘルメットを突き破り、柄が何cmも頭蓋にめり込んだ。 凛が一呼吸している間に、平均して一人或いは二人の人間が殺されて行く。 遠坂邸の建てられた通りにいた人間を殺し尽した黒贄は、なおも飽き足らないのか、大通りの方へと残像が残る程の速度で走っていった。 凛がその事に気付いたのは、黒贄の黒い残像が消えかけて行くのとほぼ同時であった。遥か遠くで、凄まじい怒声と悲鳴、そして自動車などのクラクションが鳴り響いている。 ――拙い拙い拙い拙い拙いッ!! 心臓が早鐘を打つ、大脳がモーターみたいに空回りする。冷たく粘ついた汗が背中をじっとりと濡らし、胃に石でも詰められたかのように呼吸が苦しい。 どうしてこうなっている何でこうなっている!? この後どうしたら良いのか、焦りながら凛は考える。 十秒程経過して、凛はどうしたらよいのか思い付いた。やはり、聖杯戦争の事柄について学んでおいて良かった。決して此処に来るまでの日々は無駄ではなかったのだ。 急いで凛は遠坂邸へと駆け込み、リビングへとドタドタ足を運び、自らの右手に刻まれた令呪に力を込めて祈る。 「令呪をもって命ずる――」 言った瞬間、凛の令呪が激しく輝く。それは、漢字の『狂』の字を模した令呪。『けものへん』の二本の横線部分が、爛々と輝いていた。 「大人しくなった後、此処へ来なさいッ!! バーサーカーッ!!」 ありったけの怒りを込めてそう叫ぶと、凛の前に黒贄が姿を現した。 呆けた表情を浮かべながら、「ありゃ」と言って周りを見渡す黒贄の身体は、髪の毛から靴先に至るまで、赤くない部分がない程に血で濡れている。 髪の毛と、血を吸った礼服から、ポタポタと血液が滴っている。これらは全て、返り血であろう。であるのに、血液を満たしたプールで泳いできたかのようだった。 何人の返り血を浴びれば、此処まで真っ赤になれるのか。 「おや、これは凛さん」 軽く会釈する黒贄。血液は今もぽたぽた滴っている。 爪が割れるのではないかと言う程の勢いで両拳を固く握りながら、凛はブルブルと震えていた。 恐怖から来る震えではない。鬼相の刻まれた表情を見れば解る。彼女は――嘗てない程の勢いで憤っていた。 「馬鹿ああああああぁぁぁぁぁぁッ!!!!」 喉から稲妻が迸ったのでは、と思う程の声量で凛は叫んだ。肺に溜まった空気を全て、この一言を発するのに費やした。 室内の調度品や窓ガラスがビリビリと小刻みに振動する。人は大声で、物を揺らす事が出来るのだ。 「アンタ何やってるの!? どんな悪党だって、普通は目立つだろうなって考えて、真っ昼間の往来で人なんか殺さないでしょ!? そんな事も考えられなかったの!?」 「いやぁ申し訳ございません。つい発作的に、八津崎市にいた頃のような振る舞いをしてしまいました」 「やつざき市ぃ? そんな冗談みたいな街があってたまるか!!」 「はぁ」 過去此処まで、暖簾に腕押し、と言う諺を体現した存在がいただろうか。 目の前の男は凛の烈火の如き怒気を浴びても、春風駘蕩とした態度を崩しもせず、飄々と、薄い笑みを浮かべるだけであった。 「ああ~もう最悪……聖杯戦争に備えて、抜かりのない聖杯獲得の計画をシミュレートして来たのに、一瞬で台無しじゃない……」 頭を抱えて唸り出す遠坂凛。 この家にテレビがないのが悔やまれる。もしもこの家にテレビがあり、適当にチャンネルを回したのならば、間違いなく黒贄の凶行について緊急特番が組まれ、 放送中の番組を中止してまで、彼の犯した大殺戮を報道している事であろう。 目立たない、水面下でやるのが鉄則の聖杯戦争、その一端が事もあろうに近代メディアの俎上に上がるのだ。これ程最悪な状況は、先ずないであろう。 「まあいいじゃないですか凛さん、私は楽しかったですよ」 「私が楽しくないの!!」 本当に、人の神経を逆なでする才能は天下一である。 凛は自分が、令呪を使ってこのサーヴァントに自殺を敢行させないでいる自らの我慢強さに、我ながら心底驚いていた。 「第一、聖杯の事を赤の他人に聞くのならまだしも、何で其処で手が出るのよ!! アンタ本当に生前は探偵だったんでしょうね!?」 「すいません、私は探偵は探偵でも、世界に一人しか存在しない特別な推理を得意とする探偵ですので」 「……それって?」 じとついた瞳で黒贄を睨めつけながら、凛が口にする。 「私は『殺人鬼探偵』です」 ――余りの言葉に凛は思わず仰向けにぶっ倒れそうになる。いや、と言うより、後ろに倒れた。仰向けにならなかったのは、丁度その位置に椅子があったからであった。 ストレスやら頭痛やら展望の真っ暗さやら初手でサーヴァントがやらかしたと言う絶望感やら。もう意識はブラックアウト寸前。 ――お父様ごめんなさい、私遠坂凛は聖杯を勝ち取る以前にもう駄目かもしれません―― 血を滴らせる黒贄礼太郎を、椅子に座った状態で見上げながら凛はそんな事を考えた。 家の外でけたたましく鳴り響く、パトカーのサイレン音すらも、今の凛には遠い音なのであった。 【クラス】 バーサーカー 【真名】 黒贄礼太郎@殺人鬼探偵 【ステータス】 筋力A+++ 耐久EX 敏捷A+ 魔力E- 幸運E- 宝具D 【属性】 混沌・中庸 【クラススキル】 狂化:EX バーサーカーでありながら意思の疎通も言葉によるコミュニケーションも可能。 但しバーサーカーの思考は『殺す』と言う思考のみに特化されており、損得勘定など一切無視して、ありとあらゆる人間を殺害してしまう。 状況次第ではマスターすらも殺害対象になり、実質上このバーサーカーを制御する事は、不可能に近い。 【保有スキル】 不死 不死。葬る手段がない。 首を斬られようが体中を燃やされようが、身体の半分近くをひき肉にされてもライフル銃で胸を撃たれても、バーサーカーは死ぬ事がなかった。 傷の再生には魔力を消費し、死亡からの復活となると、莫大な魔力を消費する。バーサーカーの特技は、誰も知らない所でこっそり復活である。 戦闘続行:EX 往生際が悪すぎる、と言うより往生際がない。どんなに身体をズタズタにしても、首を切断しようとも、戦闘を続けようとする。 四肢の一部が極限まで炭化したり、骨だけの状態になり神経や筋肉がない状態でも、十全の状態で戦闘が可能と言う怪物。 足止め程度の攻撃では、バーサーカーの殺害意欲は先ず削ぐ事は不可能。 怪力:A+++ 一時的に筋力を増幅させる。魔物、魔獣のみが持つ攻撃特性……なのだが、バーサーカーは何故か人間なのに有している。 使用する事で筋力を向上させる。バーサーカーの場合は発動した場合相手を殺すか、その相手に逃げられでもしない限り、永続的に筋力が向上し続ける。 更にバーサーカーは、怪力スキルを筋力だけでなく敏捷にも適用させる事が出来、瞬間的に凄まじい速度での移動をも可能とする。 貧困律:D 人生においてどれだけ金銭と無縁かと言うスキル。ランクCは、纏まった金が入り難いレベル。 バーサーカー自体の宿命もそうであるが、探偵の仕事を依頼して来た依頼人を、報酬金を支払う段階で殺してしまうなど、バーサーカー自体のせいによる所も大きい。 威圧:C 普段のバーサーカーは眠たげな瞳をした気だるげな男であるが、殺人の際になると、絶対零度の冷たさを宿した、機械的な瞳をするに至る。 ランク以下の精神耐性の持ち主は、その余りの眼力に即座に怯んでしまう。 【宝具】 『狂気な凶器の箱(凶器くじ)』 ランク:D+ 種別:対人宝具 レンジ:1~3 最大補足:5 生前バーサーカーが殺人に使っていた道具の数々が、宝具となったもの。 バーサーカーは依頼を引き受ける度に、依頼人にくじを引かせ、引いたくじの番号に対応した凶器で、事件を(力技で)解決させてきた。 相手サーヴァントと対峙する度にマスターにくじを引かせ、そのくじ番号と同じ武器が、何もない虚空から出現。それを握ってバーサーカーは戦闘に臨む。 チェーンソーやククリナイフ等のいかにもな武器もあれば、スプーンや着ぐるみなど、およそ武器とは言えないものまで、実に多種多様な凶器が揃っている。 凶器くじで選ばれた凶器は、Eランク相当の宝具として扱う事が可能。 【weapon】 凶器くじに収められた武器の数々: 色んなものが入っている。因みに探偵業の収入の殆どを、この武器の購入に充てている。 【人物背景】 史上最強の殺人鬼。最悪の破壊者。異世界アルメイルの元魔王。第一回世界殺人鬼王。世界を破壊しかけた男。 様々な呼び名を持っているが、一つ確かな事は、彼は何処までも殺人鬼であると言う事だ。 【サーヴァントとしての願い】 不明 【マスター】 遠坂凛@Fate/stay night 【マスターとしての願い】 聖杯の獲得。かける願いはない 【weapon】 アゾット剣: 魔術師の世界ではよく使われ、師匠が一人前となった弟子に贈ることが多い。凛の場合は、兄弟子の言峰に手渡された。 父である時臣の遺品として渡された品だが、実は彼の直接の死因となった武器がこれである。この事実はまだ知らない。 【能力・技能】 ガンド: 指差した相手に対して呪いの弾丸を放つ魔術。呪いの種類は様々だがそれ自体で致死に到るものではない。 しかし凛は、高い魔力のおかげで拳銃並みの威力のダメージを与える、フィンの一撃を放つ事が出来、しかもこれを機関銃のように連射が可能。 宝石魔術: 宝石に蓄積していた魔力を解放、破壊や治癒など様々な用途に利用する。 聖杯戦争に備えて今日まで練り上げて来た、サーヴァントの頭すら吹き飛ばす程の魔力の籠った宝石を複数所持している。 この他にも、五属性全てを扱える魔術師の為、火や風、水などの様々な属性を操る事が出来る。早い話が天才 【人物背景】 冬木の管理者・遠坂の六代目継承者。父に魔術師の遠坂時臣を持つが、既に故人。 家訓の「常に優雅であれ」を実践し、学園内では非の打ち所のない優等生として男子生徒の人気も高い。 しかしそれは表向き振る舞っている性格で、実際には競争相手がいるならば周回遅れにし、刃向かう輩は反抗心をつぶすまで痛めつける事に、抵抗を持たない。 やるからには徹底的に、を信条としている。が、実際の所お人よしで甘い所が見られる上に、ここぞの場面で大ポカをやらかす、詰めの甘い少女。 アーチャー召喚から数ヶ月前の時間軸から参戦。 【方針】 聖杯戦争は勝つ……勝つけど、サーヴァントがアレだしどうしようもう。 時系列順 Back タイトル未記入 Next LEMONDROPS 投下順 Back タイトル未記入 Next LEMONDROPS Character name Next→ 遠坂凛 全ての人の魂の夜想曲 バーサーカー(黒贄礼太郎)
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「命がかかってれば称賛するやつもいるけどな、あれはいけない。命を懸けるんだから見合ったもんがなくちゃね。やる意味がない」 と、伝説のスタントマンは言った。 エンジンが噴かされる。ライダーはまっすぐ、採石場のガードレールを見すえている。 ここは町はずれの採石場――正確には跡、か、重機の類はなく、布袋に入れられた石仏がむなしく放置されている。ライダーは荒い道の片側、ガードレールから十m離れた場所にいる。目指すは反対、100と数十メートル先。 「まあ俺の持論なんだが、見合ったもんというとだな、命に見合ったもんなんだ、形あるものじゃいくらあったって足りん。金はすぐヤクにでも消えちまうからな、俺の場合、あくまで俺の場合は楽しさだ。楽しくないものに参加したって仕方ないだろ?」 ライダーは同意を求めて腰に回された腕の主に訊く。 栗色の毛を二つに結んだ気の強そうな少女である。ライダーの中身を搾り取らんばかりに腰に抱き着き、顔は蒼白、黒目が若干上を向いている。それもそのはず、ライダーは町はずれに採石場があると知るや否やマスターを載せて全速力で飛ばしてきたのだ。 元々危険運転を職業にしていたライダーが安全基準の厳しい現代で運転すれば、それはもうただ走るだけでスタントといえよう。 そんなバイクに乗せられていたのだ、少女――遠坂凛の肝はずっと冷えっぱなし、尻は感覚がないし、耳も若干聞こえが悪い。 「私は全然楽しくないんですけど!頼むからおろしてよホントに!セイバー狙いだったのに出てきたのはライダー!それもこんなイカレ野郎だなんてもう最悪よ!どうしろってのよ!」 「なに?馬鹿だなおまえは。俺の後ろに乗ったやつは生涯でも数えるほどしかいないんだ多分死にゃしないから大人しく乗せられとけ」 「たぶん…今たぶんって言った!?もーやだ、もういやだ」 「へっへっへ」 後ろからではどういう表情をしているかは知らないが、きっとあの神父を思い出すような意地の悪い笑顔に違いない。凛はますます顔面の色を落とし、神に祈った。 「さあ!二人乗りでまともなジャンプ台なし、距離は目測で、え~、163m?かな?間違いなく人類初だ。間違いなく不可能さ、いくぞ!」 宣言とともにバイクのエンジンが大きくがなり立てる。後輪が砂利を弾き飛ばし、気付いた時には宙に浮いていた。 凛がその日に発した悲鳴は、生涯で一番大きなものとなった。 ▼ 数m先でバイクが逆さまになって炎上している。 ライダーはそれを笑顔で眺めている。彼の足元では放心状態の凛がしゃがんでいる。 スタントは結果として失敗に終わった。向う側までは行った、むしろ行き過ぎたほどで、着地の際、タイヤがぶつかったのは地面でなく岩壁。直前に気が付いたライダーは凛を抱えて脱出、今に至る、というわけである。 「いや、マジで危なかったな。サーヴァントなめてた。あと二人乗りだとあんなに姿勢を保つのが難しいとは思わなかった。死ぬとこだ」 ライダーがあっけからんと言い放つ。この場にもう一台バイクがあればもう一度やろうと言い出しそうな雰囲気を察知した凛は大急ぎで話題を変えた。 「ら、さっき…あんたが言ってたことだけどね」「うん?」 「目的があるの…楽しさなんて必要ないわ…」 ライダーは目的?と聞き返す。 「ああ、聖杯か。なんでも願いが叶うっていう」 凛はかぶりを振って否定した。 「願いなんかに興味ないわ…そういうのは自分でやるもの」 「いい心がけだ。気が合うな」 凛はじとりとライダーをにらみつけた。お前みたいのと一緒にされてたまるか、と思いを込めて。 ライダーは笑う。さも愉快そうに。 「私はね、戦いたいの。勝ちたいのよ。そうしなくちゃいけないの」 「なぜ」 「私がそういうものだからよ」「へえ」 ライダーはただ笑ったままで、炎上したバイクを持ち上げて採石場に落下させた。表通りに向かって歩き出すので、凛はライダーに不満を抱きながらも後を追った。 そうさ、勝たなくては。出てきたのがライダーだろうがイカレスタントマンだろうが関係ない。遠坂凛は自分の能力を信じている。自分ならあれを使っても勝ち残れるはずだ。 凛は決意した。改めて決意した。 「…歩いて、帰るのよね?」 「歩きたいのか?俺はどっかからバイクを調達しようと思っていたんだが」 訊いてよかった! 【クラス】ライダー 【真名】ロバート・クニーブル 【出典】20世紀アメリカ 【性別】男 【身長・体重】178㎝74㎏ 【属性】中立・中庸 【ステータス】筋力:Ⅾ耐久:C敏捷:A++魔力:E幸運:A宝具:C 【クラス別スキル】 対魔力:E ライダーは現代のサーヴァントであるため、魔力に対する耐性はほとんどない。 ランクEはダメージを多少軽減させる程度。 騎乗:A+ ランクこそA+だが、ライダーは絶対にバイク以外には乗らない。ランクA+相当のバイク操舵技術ということ。 【保有スキル】 尻軽男:B ライダーは道具を選ばない。ライダーが乗ったバイクはすべてランクB相当の耐久力とランクC相当の対魔力を得る。ただし原付はその限りではない。 単独行動:B マスター不在、魔力補給なしでも長時間現界していられる能力。 ランクBならマスターを失っても二日間は行動可能。 向こう見ず:A 不可能に挑戦し続けるライダーの生きざまそのもの。ライダーの行動すべてに実現の可能性が残される。逆説的に理論上絶対に成功する事柄でもライダーが行えば失敗する可能性がある。 仕切り直し:B 戦闘からの撤退にボーナスを得る能力。 矢除けの加護:(C) 宝具の発動条件を満たすことによって発動。 宝具を除いた投擲タイプの攻撃は使い手を視界に納めた状態であれば、余程のレベルでないかぎりライダーに対しては通じない。ただし超遠距離からの直接攻撃、および広範囲の全体攻撃は該当しない。 【宝具】 『不死の跳躍(イーブル・クニーブル)』 ランク:C 種別:対軍宝具 レンジ:- 最大補足:- ライダーそのもの。二十年に及ぶスタントマンとしての活動と前人未踏、スタントによる433回に及ぶ骨折と世界最長のスタント記録を由来とする。ライダーの駆けるバイクに追いつくことはできない。サーヴァントがいる空間で敏捷に二つのボーナスとスキル『矢除けの加護:C』を付与。またライダーの受けたダメージは傷としては現れず、その身に蓄積される。 【特徴】 金髪のオールバック、爽やかで紅白のライダースーツを着ている。スタント界のプレスリーと呼ばれる由来は開いた裾と首回り。パフォーマンスを職業にしているスタントマンらしく、見た目は派手。 【人物背景】 伝説のスタントマン。1938年生まれ。12の時にモトクロスショーを見てスタントマンを志し、1966年からスタントショーの仕事を始める。以後スタントの記録を打ち立て続け、幾度となく成功と失敗を繰り返す。70年代スタントのアイコン、バイクに乗ったプレスリーと言われた。2007年、老衰で死去。 スタントマンという職業は当時アメリカンフットボールに次ぐ人気を持っていたと言われているが、その派手さゆえに低俗で品位がないものとして白い目で見られることも多かった。ライダーが跳び続けたのはもちろん人々からの称賛もあっただろうが、純粋にスタントが好きだったというのが最大の理由である。相当な自信家で、変態。 ライダーとしてはこの上ない適性を持っているはずだが、兵士でなければアウトローでもないため戦闘能力らしい戦闘能力は薄い。しかし同じく戦闘を得意としないマリー・アントワネットの例もあるので全く戦えないということはないだろう。 【サーヴァントとしての願い】 ない。強いて言うならこの体で出来ることがしたい。 【マスター】遠坂凛 【出典】fate/stay night 【能力】地水火風空の五つの属性を過不足なく使いこなす超一級の魔術師。同年代の魔術師と比べると魔力量もけた違いで、家督も高い、筋金入りのエリート。 特異な魔術は呪いの弾丸を打ち出す「ガンド撃ち」。本来は物理的破壊力を持たないガンドだが、極めて高い才能がその威力を拳銃に匹敵するものとしている。 専門は宝石魔術で、宝石に魔力を込め、武器や等道具として扱う。大量のストックがある。 また八極拳の使い手でもある。近接戦闘もそれなりにこなせる。 【人物背景】 上記参照。6代続く魔術師の家柄、遠坂家の現当主。能力に裏打ちされた高いプライドと気の強さを持ち、敵対する者は周回送りになるまで、やるときは徹底的にやる。 参戦はstay/night本編より数か月前。 【マスターとしての願い】 聖杯を手に入れる。願いは特にない。
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《体操服 理子》 キャラクターカード コスト5/黄/CP5000/RANK1 【体操服】 ボーナスアイコン RANK+1 このカードのアタックで、相手にダメージを与えた場合、カードを1枚引く。 適切なタイミングでHSSになる訓練なんだよ…。 緋弾のアリアで登場した黄色・【体操服】を持つ理子。 アタック時、相手にダメージを与えた場合、カードを1枚引くテキストを持つ。 関連項目 理子 収録 緋弾のアリア 01-052 SR
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番号 MW14095 名前 体操服の立夏 読み たいそうふくのりっか Lv 3 スター 種別 ユニット BP 4500 SP 500 【明日はいよいよ体育祭だネ~!】○夢(プランゾーンからプレイできる)○信頼(敵はこのカードの左右に移動できない) 移動方向 ↑ 属性 トゥルー家族♀ ブロック アスキー・メディアワークス 作品 Baby Princess レアリティ C
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体操服シヴァ シークレットレア 必要魔力 22 近距離 変更前→ 攻撃 防御 TOTAL 親愛度MAX 5576 8279 13855 9000 誕生日 2月2日 身長 142cm 体重 37kg 3サイズ スキル 煽動バトン効果 防御力をupしつつ、敵を挑発して攻撃を誘う 親愛度 コメント 低 あなたの代わりに、わたしが走るわ…こんな世界に思い入れなんかないけれど、それでも私は走るわ…何故か今はそんな気分なの… 中 どうしてわたしがこんなことをしなければならないの…?やっぱり、こんなことに価値なんかないわ…価値があるのはあなただけ…え…?あなたがそう言うのなら走るわ… 高 やっぱり、こんなことをしても意味なんかあると思えないわ…でも、ちょっと楽しいと思えるわたしもいるの…不思議ね…本当にこの世界は不思議ね… 嫁 わたし、走ってよかったわ。あなたがいてくれたからという理由も大きいけれども、なんだか気分がすがすがしいの。この世界もまだまだ捨てたもんじゃなかったのね 親愛度 セリフ 低 もしもわたしが負けたら世界を滅ぼすわ… 体操服も、ブルマにも価値はないわ…あるのは自分の足だけ… 応援、してくれるの…?すごくうれしいわ… 走ることよりも壊す方が楽でずっといいわ… 中 踊るのは好きなの…どうせならチアのがよかったわ… さぁ、終末に向けて走りましょ わたしのバトン、受け取ってくれる…? わたしが勝てばあなたは喜んでくれるかしら…? 高 もう疲れちゃったわ…休ませてちょうだい… きゅ…給水所は…ないのかしら…? バトンを繋ぐ…その意味がちょっとずつ理解できてきたわ… たまにはこういうのも悪くないわね…うん、悪くないかも 嫁 苦労の向こう側が覗けたわ。こんなに世界が綺麗だったなんて… わたし、ちゃんと頑張れてたかしら…? 頑張ったご褒美に、ちゅーをしてくれてもいいのよ? あ、汗くさいだろうから、今は抱きしめないで… スキンシップ後 朝 さぁ、準備運動を始めましょ 夜 明日のためにしっかりと休憩しなくちゃよね… なでなで なでなでは至高のご褒美ね… その他 誕生日 誕生日…?一緒に走ってくれるのなら、それだけでわたしは満足よ 親愛度中コメント どうしてわたしがこんなことをしなければならないの…?やっぱり、こんなことに価値なんかないわ…価値があるのはあなただけ…え…?あなたがそう言うのなら走るわ… -- 瑠璃 (2014-12-10 17 05 04) 親愛度中台詞 踊るのは好きなの…どうせならチアのがよかったわ…/さぁ、終末に向けて走りましょ/わたしのバトン、受け取ってくれる…?/わたしが勝てばあなたは喜んでくれるかしら…? -- 瑠璃 (2014-12-10 17 06 32) 親愛度高コメント やっぱり、こんなことをしても意味なんかあると思えないわ…でも、ちょっと楽しいと思えるわたしもいるの…不思議ね…本当にこの世界は不思議ね… -- 瑠璃 (2014-12-10 17 33 14) 親愛度高台詞 もう疲れちゃったわ…休ませてちょうだい…/きゅ…給水所は…ないのかしら…?/バトンを繋ぐ…その意味がちょっとずつ理解できてきたわ…/たまにはこういうのも悪くないわね…うん、悪くないかも -- 瑠璃 (2014-12-10 17 34 43) 親愛度嫁コメント わたし、走ってよかったわ。あなたがいてくれたからという理由も大きいけれども、なんだか気分がすがすがしいの。この世界もまだまだ捨てたもんじゃなかったのね -- 瑠璃 (2014-12-10 17 46 45) 親愛度嫁台詞 苦労の向こう側が覗けたわ。こんなに世界が綺麗だったなんて…/わたし、ちゃんと頑張れてたかしら…?/頑張ったご褒美に、ちゅーをしてくれてもいいのよ?/あ、汗くさいだろうから、今は抱きしめないで… -- 瑠璃 (2014-12-10 17 48 08) 名前 コメント
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遠坂凛&ライダー◆HOMU.DM5Ns 静かな夜だった。 空には月と星。地には天と対称するように眩く灯る人口の煌めき。 アメリカ、スノーフィールド。ここは地球の未来における都市の形を理想とした街。 とはいえそこに住む人々までもが未来を見て過ごしているわけではない。 大半の者は今を生きるのに懸命で、それは時代が進んでもそう大きく変化もしないだろう。 今日もまた仕事を終えて家に帰っている時刻に、その少女もまたひとり路地を歩いていた。 一言に言ってしまえば、宝石のような少女だった。 傍を通り過ぎたら振り返って二度見したくなる美貌。 思春期の愛らしさを理性という光で彩った、完璧な仕草。 生まれて持った天性の輝きを放つ原石を、時間をかけて丹念に研磨させて黄金の比率を保った最高純度の紅玉(ルビー)。 日本人だが一部北欧の血が混ざってる顔立ちは、外様のはずのスノーフィールドでも異物感を与えない。 何より、慣れぬ異国への萎縮が一切見られない少女自身の堂々たる振る舞いに街も諸手を挙げて受け入れていた。 遠坂凛 しかし夜更けにうら若い少女一人が道で歩いているのは、些か無防備に見える不安な場面でもある。 日夜犯罪の報道がなだれ込んでくる銃社会のアメリカだが、治安という市民移住に重要な案件にスノーフィールドは力を入れている。 人通りが多い地域の警備は万全を期しており街の平穏は守られているとはいえ、防犯を心がけるのに越したことはない。 当の本人も足取りは普段通りに見えて僅かに遅く力みがあり、危機意識が働いているとわかる。 ……尤もそれは。一般的な子女が抱く危機意識とはまったく違う意味合いが込められていたが。 「……はあ。懐かしみたくもないのに、しっくりきちゃうものなのね。この空気って。 ヘンに張り詰めてるっていうか」 ため息を吐いた遠坂凛は、この空気を知っていた。 人世の裏に潜む魔術師である少女にとって、あまりに馴染んだ雰囲気。 魔力の充満とはまた違う、街の空気そのものが入れ替わったとしか思えない違和感がある。 「人生に二度体験する羽目になんてね。セイバーと同じかあ。 そういや、綺礼もそうだったっけ」 聖杯戦争。 奇跡の願望器を求めて七人のマスターとサーヴァントが殺し合う魔術儀式。 マスターとは魔術師。神秘を修め真理を目指す魔を統べる術を操る者。 サーヴァントとは英霊。過去から未来の人類史に功績を残した偉人を現在に呼び起こす超人的な使い魔。 その知識を、凛はこの舞台に招かれる以前から、ずっと前から知っていた。 何故ならばといえば、他ならぬ彼女の家系こそがその儀式を成立させた立役者。 魔術師、遠坂という『冬木の聖杯戦争』御三家の一であるからである。 数十年周期を経て都合四度行われてきた大儀式に、彼女もまた若き当主として五度目の戦いに身を投じた。 聖杯を勝ち取りこそしなかったものの、聖杯戦争の生還者として彼女は戦い抜いたのだ。 「けど一体なんなのよこれ……冬木とは別の聖杯戦争?誰に断ってこんなこと仕出かしてるのよ。 しかも十五組のマスターってなによ、ていうか電脳空間ってなんなのよ……!ああまずい大声出しそうだった」 しかしその知識は、『彼女の知る聖杯戦争』のものであって、この地で行われようとする聖杯戦争とは違った形態だった。 だから余計に混乱する。正統な魔術師である凛にとって、今の状況はあり得ないと言う他なかったのだ。 「……無様ね、凛。そうじゃないでしょ」 今すぐ大声を出して抗議したい感情を頭の中で抑えるうちに、気付けばここでの自分の家に着いていた。 それなりに豪邸だが西洋式である元いた遠坂邸とは趣の違う、知らないはずの家。 日本の建築風だが完全な和風の屋敷というわけでもない。異民の受け入れに寛容なスノーフィールドとはいえ、建築の文化そのものが違っているのはかなり珍しい。 自分の家ではないここの違和感が、思えば最も強かった。 ホームシックを憶えるわけでもない。ただやっぱり凛にとっての帰る場所とは遠坂の家……よりも先に浮かんだ場所だった。 参加状も拒否権もなしに強制連行された事、頭に勝手に記憶を書きこまれた事、 電脳という神秘も魔術もない空間が舞台とかいう事への諸々の主に怒りの感情は一端、ひとまずは置いといて。 かつて聖杯戦争の名を冠する儀式に、まさに当事者として関わった自分が再び呼び込まれた意味をまず考える。 経験がある自分を意図して選んだというならまだ楽だ。問答無用でぶっ飛ばせばいい。 手袋を投げたのはあっちなのだから、こっちには受け取って拳を振り上げる権利がある。 ただ無作為に選んだとしたら、それはもう最低だ。 仮にも聖杯戦争なのだ。宝くじを引くような感覚でランダムに参加者を引っ張る真似をする輩なんて全魔術師への冒涜、宣戦布告に等しい。 「……あ、いやいたんだっけ、たまたま引いたくじで一等賞当てたヤツ」 思い浮かべた顔。 呆れるほど未熟で強い、放っておけない少年を脳裏に起こす。 それだけで、不思議とスッとして揺らぎが消えた。 「ちょっとだけ待って、士郎。一発ぶん殴ってすぐ帰るから」 そうだ。ここで自分が消えているって事は、あいつの隣にいない訳だ。 隣に立って支えると言いながら自分が先にいなくなるなんて、最も忌避すべき事態だ。 歪で、愚かで、けど尊い、ある少年の誓い。 その目指す道がどれほど傷だらけになると分かったからこそ、傍にいると決めたのではなかったのか。 朝焼けの空で微笑んだ彼。 叶わぬ理想に心が磨り減って、それでもいいと笑うしかなかった背中。 自分を失ったあいつか、いつか自分を好きになれるようにと。 だったら、こんなところで躓いてなんかいられない。 この聖杯戦争がなんであろうと関係ない。必ず生き残り、帰ってみせる。 「まあ結局やることは変わりない、と」 聖杯戦争が願いの潰し合いであるのは知っている。 マスターもサーヴァントも譲れぬ願いがあり、ひとつしかない奇跡の席を賭けて戦う。 聖杯がろくでもないモノであると身に染みて理解してる。 ここの聖杯がそれとは違うとしても、それでもまだ疑念の方が強い。 その理屈を他人に押し付けるほど傲慢にはなれない。 それでも自分は遠坂凛なのだから、やっぱりこうするしかないのだろう。 「そうと決まったら、とにかくサーヴァントの召喚……か」 ……正直に告白してしまうと、その時、少しだけ期待はしていた。 聖遺物なんて用意してるわけがない。召喚のために準備だって何一つ整えられてもいない。 だいたい前の戦争で召喚用、戦闘用にストックしていた宝石はあらかた消費してしまってるので用意のしようがないのだけど。 つまりは、だ。 何の保護も仕掛けもないまま、ただ遠坂凛(しょうかんしゃ)のみを縁とした簡素な召喚にするしかなく。 自分と縁のあるサーヴァントなんて一人しか思いつかないのが自然というもので。 そう思った瞬間、本当に屈辱的この上なかった現象を、悪くないなと考えてしまったのは、否定できなかった。 「まさか、ね。そう都合よくあてがってくれるわけないか」 声に隠しきれない嬉しさが乗っているのが自覚できる。 肩透かししないように努めて否定するが、どうしても期待してしまっている。 とりあえず調子のピークを間違えて失敗(うっかり)して天上から落とす羽目にならないように考えながら、家の扉を開けた。 「……?」 開けた途端、暖かい香りが鼻孔をくすぐる。 記憶にある限り、この家には凛一人しか住んでいない。 家に招く友人もいないではないかもしれないが、家主より先に上がらせる仲がいたとは思えない。 なのに居間に通じる通路には明かりが灯り、香りはその先から漂ってきている。 カタカタと小刻みな金属音は、きっと鍋が煮たって蓋が震えている音なのだろう。 ―――そういや、白紙のトランプって……どうしたっけ? この聖杯戦争で召喚されるサーヴァントの核となる触媒。 マスターが記憶を取り戻した時点で手に戻ると知らされたものを、どこに所持していたか。 そう気づいた瞬間、急ぎ足で駆け出した。 今の今まで感じなかった、家の明かりや魔力パスの繋がりも放って居間に飛び込んだ。 中にいる相手に、この中途半端な感情をぶつけたい理不尽さを抱えて。 「やっと帰ったか。女の子が夜に独り歩きとは感心しないな」 聞いただけで、相当な自信家だと分かる声だった。 それだけで声の主がどんな人物なのか理解できるだけの、強烈な我を嫌が応にも感じさせた。 台所から出てきたのは、癖の強い黒髪の青年だ。 端正で力強い表情だが格好は現代で見られる普通のもの。 だが既に英霊との邂逅を幾度も果たしている凛には分かる。 膨大な魔力の濃さだとか、そういった要素を抜きにして、こいつはただの人間とは違う、英雄だと確信させるだけの圧倒的な雰囲気を持っている。 持っているのだが……その両手で掴んでいるのが熱を持った土鍋というのが所帯じみた感想を持たざるを得ない。 とにかく声と合わせて、唯我独尊という言葉がこれ以上なく似合う男だ。 ……思い出したくもない、金色の影が脳裏を掠めた。 「だが丁度いい。夕食も今できたところだ。早速食べるといい。美味いぞ」 そう言って、土鍋をテーブルの空いていた鍋敷きに載せる。 蓋を開ければたちまち湯気が沸き出して、中にある白い肌の君が湯船に漬かる姿を現す。 即ち、湯豆腐である。 昆布だしをベースにタレはゆずポン酢、薬味のみとシンプル。 それ故に作り手の腕如何でどこまでも進化する無限の可能性を秘めた料理。 これを出すということは己の腕に自信を持っているということである。 「いやちょっと待ちなさい。なんなの、あんた?」 料理に目が行って最初の疑問が頭から抜けてしまうわけもなく、凛は我が物顔で居座っている男へと向き直る。 それを聞いた男は、心底残念そうに顔を顰めた。 「なんだ。俺の名を知らんのか?世間に疎いにも程があるぞ、それでも俺のマスターか? ……まずいな、あまりの不憫さに涙が出てきたぞ」 「そういうことじゃないわよ!召喚も契約もすっぽかしてひとん家でご飯作ってるあんたの精神構造を聞いてんの! だいたいあんたの名前なんか知るわけな、―――?」 ズレた反応を返すサーヴァントに烈火の如く食いかかる凛だが、当の本人はどこ吹く風と返している。 それどころか何か同情した目で見てやがりすらいた。 『もっかい令呪使ってやりましょうか!』と我を忘れて握り拳を上げようとして―――頭に浮かんだ謎の文字に告げる言葉が失せた。 「あれ……?なんで私、あなたの名前、知ってるの?」 この男とは間違いなく初対面だ。 それなのに凛は男の名前を"既に知っていた"。 銘打たれた名が何を意味するかまでを、正確に。 偽の記憶を刷り込まれたように、ここの聖杯戦争の形式かと思ったがそうではない。 冷静になった頭で、改めて目の前のサーヴァントを見やった。 視線を受け止めたサーヴァントは、おもむろに緩く伸ばした右手の人差し指を頭上へと掲げる。 指先がちょうど天上の照明と重なって、まるで指そのもに光が灯っているように見える。 太陽の夜明け。 その男を介してるというだけで、ただの照明は神秘的な幻想という光景を凛に錯覚させた。 「……そう。俺の名は、天の道を往き、総てを司る男―――」 天に突き上げた光の中心で真名が名乗られる。 己が世界の真理、この世の正義そのものだと確信する絶対の自信を込めた声で。 「――――――天道、総司」 ◆ 「……なんで私のサーヴァントってこう、みんな無駄に家事が万能なのかしら」 振る舞われた料理を食べ終えて、ごちそうさまの次に凛がこぼしたのはそんな言葉だった。 「それは、つまり俺以外のサーヴァントとも契約していたということか? この聖杯戦争以前の、また別の聖杯戦争の生還者というわけか。詳しく聞かせてもらおうか」 自負するだけあって、ライダーのサーヴァント―――天道の料理は非常に美味であった。 一人は例外として、自分や士郎、桜でも分が悪いと危惧してしまうぐらいに。 まさかそれが自分との縁ではないだろうか。そういう意味でも危惧した凛だった。 「……ええ、そうよ。色々話し合うことはあるけど、まずそのあたりの話もしなきゃね。 ていうか、最初にその話しようと思ったのにそっちが無理やり黙らせたんでしょ」 「おばあちゃんは言っていた……。食事の時は天使が降りてくる、そういう神聖な時間だ。 食事時に物騒な話はするものじゃない」 凛が聖杯戦争絡みの話題を始めようとしても、この台詞と共に話を続けるのを禁じられてしまう始末。 これで料理が美味しくなかったら、ひたすら無言で豆腐を食べる時間を過ごす羽目になるところだった。 そのごく短い合流でもよく理解できたのが、この天道という男がひたすら自分本位の性格ということだ。 こちらの事情などお構いなし、己の都合を優先させる。そのくせまったく悪びれない。 凛もまた自我が強い方であり、当然気に食わない。なのでここでペースを掴むため本題を切り出した。 「じゃあ改めるけど、さっきも言った通り、私は一度聖杯戦争を経験してる。 率直にいって、その聖杯は碌な物じゃなかった」 魔術師の家系としてサーヴァントを召喚し冬木の聖杯戦争に臨んだ事。 そこで知った聖杯の真実。マスターとサーヴァントがこぞって求めていた願望気が、人類を殺し尽くす呪いの塊でしかなかった事。 凛が知る聖杯戦争の概要と共に、かいつまんでそのあらましを説明した。 「だから、この聖杯戦争もまるきり信用はしてないわ。 冬木のとじゃつくりが違うだろうから何とも言えないけど、胡散臭いのは変わりないし」 前提を伝える。 遠坂凛がこの舞台で動く上で最低限の方針を。 サーヴァントとして呼ばれる英霊は聖杯に願う理由がある。だからこそ使い魔に身をやつしてさえ人間に服従する。 聖杯の破壊を視野に入れるマスターに対して、目の前の英霊はどうするのか。 場合によれば、このサーヴァントとの契約を断たれかねない道。 「戦いがあるなら当然勝つ為に動くし、やるからには徹底的にやるけど、最終的に願いを叶える気はないわ。元々そんなもの、持ってないし。 少なくとも、これを作って無差別に人を集めるような奴は一発殴らなきゃ気が済まないわ。 それできちっと元の場所に帰る。それでおしまいよ」 見た事もない誰かの為に、なんて正義感を振りかざすつもりはない。 凛とて魔術師であり、一般社会の人にとっては異端の類だ。人の道理を語れる立場にはいない。 目的は極めてシンプルだ。売られた喧嘩は買う。無論、勝つ。そして生きて帰る。 なにひとつ取りこぼさない事が凛にとっての勝利だ。 「なるほどな」 凛の話した内容にも反応薄く、机に手をついて天道は瞳を凝らした。 「つまり、元の世界に恋人や家族でも待たせているのか?」 「んにゃ!?」 まったく予想してなかった返しに、喉からなんか変な声が出た。 「な、なななに言ってんのよ!恋人とか、あいつとはそんなんじゃ……………………なくもない、とは言える、けど。 ていうか!それは今関係ないでしょー!?」 ひとしきり喚き散らして、墓穴を掘った、と自覚した瞬間、顔から火が出るほど赤くなる。 取り乱した凛を見て天道はからかうでもなく、真剣な面持ちのままで続ける。 「おばあちゃんは言っていた……。人は人を愛すると弱くなる。けど、恥ずかしがる事は無い。 それは本当の弱さじゃないから。弱さを知ってる人間だけが本当に強くなれるんだ」 傲岸不遜を地で行く台詞。 受け売りを前置きにして語る言葉はしかし、何よりも本人の底から出た言葉にも聞こえた。 自分がその強さを知っているが故なのだとでも言うように。 「弱さを受け入れてお前はお前の道を突き進む。それこそが何よりも大きなお前の強さだ。 まあ、及第点だな」 「……それって、要するに私をマスターとして認めるってこと?」 「いつ俺がお前をマスターにしないと言った? 俺を呼び出せるほどのマスターだ。世界を汚し、人を害する下衆な願いを持った愚か者の筈がない。 他人に縋る願いなどない以上召喚されることはないと思っていたが……やはり俺が望みさえすれば運命は俺に味方するようだな」 凛を評価してるのか、自画自賛しているのか。 どちらが正解なのか分からなくなる。 どうやら天道もまた聖杯に託す願いはなく、凛の意に反する気もないらしい。 「そして喜ぶがいい。俺が来た以上、この聖杯戦争は俺達の勝利で確定だ。世界で一番強いのは俺だからな。 お前の望みは、必ず現実のものになる」 そしてなんとも大それた宣言をした。 驚くべきことに、その言葉は本気だった。 本当に、この空の下で自分が最強なのだと疑っていない。 その姿勢を不思議と妄言だと感じさせない。それもまたこの英霊の強さの根源か。 「うわ、そこまで自分中心なんだあんた」 「おばあちゃんは言っていた。世界は自分を中心に回ってる。そう思った方が楽しいってな」 「ああ、それは納得。……けどあなた、本当に強いの?」 ほんの少し値踏みするような目線に、不機嫌そうになるライダー。 意外と子供っぽいところもあるらしい。 「……そうか。まずは直接俺の強さを見せつけるしかないようだな。 その時こそ自分と契約した者が何者なのかを思い知るといい、マスター」 「ええ。期待してるわよ」 挑戦的な笑みに、柔らかい微笑で返す。 それが、二人の契約の本当の始まり。 願いの為ではなく、勝利の為に。しかし紛れもない誰かの為に戦いを始める。 閉じられていた箱庭の中で、新たなる運命の扉が今、開こうとしていた。 【クラス】 ライダー 【真名】 天道総司/カブト@仮面ライダーカブト 【パラメーター】 筋力E 耐久D 敏捷D 魔力E 幸運A 宝具A+ 【マスクドフォーム時のパラメーター】 筋力B 耐久A 敏捷D 魔力D 【ライダーフォーム時のパラメーター】 筋力C 耐久C 敏捷B+ 魔力D 【属性】 混沌・善 【クラススキル】 対魔力:D 一工程(シングルアクション)による魔術行使を無効化する。 魔力避けのアミュレット程度の対魔力。 騎乗:A+ 騎乗の才能。獣であるのならば幻獣・神獣のものまで乗りこなせる。ただし、竜種は該当しない。 幻想種への騎乗の逸話がないライダーだが、下記スキルと「時の流れに乗る」という特例によりランクアップしている。 【保有スキル】 天の道:EX 天の道を往き、総てを司る男。 世の中で覚えておかなければならないただ一つの名前。 ライダーを認識した相手は「天道総司」の真名を即座に認識する事になる。 他のサーヴァントやマスターにすら効果は発揮されるが、「仮面ライダー」としての能力は明かされず、 スキルや宝具などの詳細は明かされない。そのため変身時はこの効果が適用されない時がある。 心眼(真):B+ 修行・鍛錬によって培った洞察力。 窮地において自身の状況と敵の能力を冷静に把握し、その場で残された活路を導き出す“戦闘論理” 逆転の可能性が1%でもあるのなら、その作戦を実行に移せるチャンスを手繰り寄せられる。 後の先を取るカウンターを得意としており、相手の攻撃後の行動の成功率が上昇する。 仕切り直し:B 戦場から離脱する能力。 不利な状況から脱出する方法を瞬時に思い付くことができる。 また、不利になった戦闘を戦闘開始ターン(1ターン目)に戻し、技の条件を初期値に戻す。 戦いが水入りになりがちな仮面ライダーには必須のスキル。 単独行動:C マスターからの魔力供給を断ってもしばらくは自立できる能力。 ランクCならば、マスターを失ってから一日間現界可能。 【宝具】 『日緋色に輝けし天の道(ネクストレベル・カブト)』 ランク:B 種別:対人宝具 レンジ:- 最大捕捉:1人 光を支配せし太陽の神。マスクドライダーシステム第一号。 使用者を全身装甲の戦士、カブトへと変身させる。 カブトムシ型自律変身ツール「カブトゼクター」を腰に巻いたライダーベルトに装着するまでのプロセスそのものが宝具として成立している。 天道の戦闘はこの宝具を使用してのものが前提となる。 厚い装甲を纏った「マスクドフォーム」と、装甲を排除(キャストオフ)し軽快な動きができる「ライダーフォーム」に形態を変えることができる。 ライダーフォーム時には対人奥義「ライダーキック」と「クロックアップ」が解禁される。 『瞬迅の超速戦輪(フルフォース・エクステンダー)』 ランク:C+ 種別:対軍宝具 レンジ:2~50 最大捕捉:50人 カブト専用の特殊強化バイク。カブトのクロックアップにも対応しており天道の意思で自動走行が可能。 この宝具にもキャストオフ機能が搭載されており、巨大な角が生え戦闘的となるエクスモードに変形する。 空中飛行も可能で、大気圏の離脱にも耐えられる。 『時翔ける運命の超進化(ロード・オブ・ザ・スピード)』 ランク:A+ 種別:対人宝具 レンジ:- 最大捕捉:- スキル天の道により、その世界における天道総司の知名度を上げることで時空を歪ませる。 カブトの強化ツール「ハイパーゼクター」を召喚させ、強化形態「ハイパーカブト」への変身が可能となる。 さらにスキルの効果が高まれば最終兵器「パーフェクトゼクター」も追加され、これによりカブトの能力の全てが解禁される。 聖杯戦争の場で天道総司の名が知れ渡ってない限り、どれだけ魔力があってもこの宝具は発動できない。 【weapon】 『カブトクナイガン』 ガンモード、アックスモード、クナイモードの三形態を取る武器。 『パーフェクトゼクター』 剣型のソードモード、銃型のガンモードの二形態を取る武器。 ザビー、ドレイク、サソードの各ライダーのゼクターを呼び出し、その能力を行使する。 全てのゼクターを結集させることで対軍奥義「マキシマムハイパーサイクロン」(ソードモード)、対城奥義「マキシマムハイパータイフーン」(ガンモード) が発動される。 【SKILL】 『ライダーキック』 対人奥義。最大補足1~5人。 「仮面ライダー」と呼ばれる戦士が備える必殺の蹴り。 使用者によって千差万別の手段で仮面ライダーはこの技を習得している。 一号の仮面ライダーの原初の逸話から、「改造人間」「異界の魔獣」等の異形相手に高い特攻能力を持つ。 天道が得意とするのはカウンター気味に放たれる回し蹴り。 ハイパーカブトに変身中は威力が跳ね上がる『ハイパーキック』へと進化する。 『クロックアップ』 時間流を操る超高速行動システム。 使用者は近くで戦おうとも他者に気付かれない別世界にいるに等しい。 時間の流れに干渉しているため、加速で攻撃の威力が上がるわけではない。 人間ではまず視認不能だが超常の存在たるサーヴァントであれば補足することは可能。 高い戦闘力と機転、空間や時間に干渉する能力を持つ者がいれば対抗が可能となる。 ……規模と範囲こそ驚異的だが、時間遡行に比べれば時間の加減速はまだ魔術の領域にある技術である。 『ハイパークロックアップ』 ハイパーカブトに変身して使用可能。 クロックアップすら止まって見えるほどの超々加速能力。未来・過去・異空間への跳躍すら可能。 ……即ち魔法の領域そのものであり、時間の改竄による世界の枝分けは第二魔法、平行世界の運営に分類される。 しかし過度な世界の改変は修正すべきバグとされ、自己の消滅に繋がる危険がある。 これは使い手である天道は魔法の真の使い手ではなく、時間改竄の干渉を受けない存在(特異点)ではないからである。 【人物背景】 宇宙から隕石と共に飛来し人間に擬態する怪物「ワーム」と戦うマスクドライダシステム一号、カブトの資格者。 傲岸不遜で唯我独尊、自分が世界で一番偉いと本気で思っている。(曰く、そう思った方が楽しい) 「おばあちゃんが言っていた」に始まる格言を持ち、尊敬に値すると認めた者は素直に評価し敬うがそうでない者には常に上から目線で接する。 万事(特に料理)に優れ何事も独力でこなせてしまうため、他者に中々秘密を打ち明けようとしないのが難点。 冷淡であるが冷酷ではない。「俺が正義」と称するだけあって使命感は強く時には体を張って他者を助けたりする。 旧姓は日下部。父母がワームに殺され祖母の家に預けられ天道姓となる。 両親に擬態しされた際、ワームは母が既に身ごもっていた妹・ひよりも揃って擬態していた。 後のワームの隕石が墜落した現場で両親に再会、復讐の機会を得るが生まれていた妹の声で踏み止まる。 その時からたとえ怪物であっても妹を護るべくワームと戦う事を決意。以後七年の歳月を特訓に費やした。 義理も含めた二人の妹が最大の戦う意義だが、同時に最大の弱点でもある。 【サーヴァントとしての願い】 自分が最強である事は分かり切ってるし他者に縋るような願いもないが、それはそれとして呼ばれた以上勝つのは当然の事である。 当面は凛に自分の強さを見せつける事が目的。 【マスター】 遠坂凛@Fate/stay night 【マスターとしての願い】 聖杯が胡散臭いのは痛感してるのでまともに乗る気はない。 ただ売られた喧嘩は買わねば気が済まない。やるからには勝つ。聖杯は碌でもないものなら破壊する。 【weapon】 ストックした宝石の大半、魔術刻印の一部は先の戦いで喪失している。 だがそれに代わる経験は失ったものと釣り合わないほど得難いものであった。 【能力・技能】 遠坂家当主に相応しい魔力資質。全ての属性の魔術を扱える天才。五大元素使い(アベレージ・ワン)。 宝石に魔力を込め即座に大魔術を使用できる宝石魔術の使い手。 有り余る素質故多くのジャンルに手を出せてしまう上媒介が媒介なため金食い虫なのが難点。 これとは別に、指に魔力を込め放つ北欧の魔術「ガンド」を習得している。通常では体調不良に留まる効果が魔力の濃さで物理的な破壊力を持つに至っている。 兄弟子に護身術として八極拳を仕込まれてるため、近接戦闘もこなせる。 【人物背景】 聖杯戦争を開始した御三家の一角、遠坂家の六代当主。 学生生活では才色兼備の優等生で通ってるが、その本質は某へっぽこに曰く、「あかいあくま」。親しい間柄には見破られている。 「あらゆることをそつなくこなし、そして一番大事な場面でうっかり失敗する」という先祖代々の悪癖がある。 家訓として常に余裕を以て優雅たれ、魔術師として冷酷たれと心がけてるが人間的な甘さが多分に多い。 しかしその甘さは一人の男を救い、一人の英霊の時空をも超えた縁となった。 実は妹がいるが、魔術的な多々のしがらみによって幼少期に引き離されている。頻繁に顔を合わせられる関係だが僅かな蟠りが残っている。 なお、とても機械音痴。 凛ルート終了後、高校卒業を控えた時期から参戦。
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《体操服 カナ》 キャラクターカード コスト4/黄/CP5000/RANK1 【体操服】 ボーナスアイコン RANK+1 [コネクトアタック(3)] もうちょっと、あなたを見せてごらん。 緋弾のアリアで登場した黄色・【体操服】を持つカナ。 コネクトアタック3を持つ。 関連項目 カナ 収録 緋弾のアリア 01-055 R
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5A 150(85%) 底ダメ30 5B 280(90%) 底ダメ56 5C 300(90%) 底ダメ60 6C 300(90%)・300(90%) 底ダメ60・60 2A 200(83%) 底ダメ40 2B 300(90%) 底ダメ60 2C 400(90%) 底ダメ80 JA 250(85%) 底ダメ50 JB 300(85%) 底ダメ60 JC 450(85%) 底ダメ90 通常投げ 400(70%) 宝石魔術A(空中) 600(90%) 底ダメ120 宝石魔術B(空中) 500(85%) 底ダメ100 宝石魔術C(空中) 1HITにつき200(93%) 底ダメ1HITにつき40 エアグレネード 650(90%) 底ダメ130 アイスグレネード 500(85%) 底ダメ100 スタングレネード 800(85%) 底ダメ160 連環腿A 200(90%)・400(90%) 底ダメ40・80 連環腿B 300(90%)・450(90%) 底ダメ60・90 連環腿C 200(90%)・400(94%)・500(90%) 底ダメ40・80・100 崩拳A 400(90%) 底ダメ80 崩拳B 500(90%) 底ダメ100 崩拳C 600(90%) 底ダメ120 崩拳追加 500(90%) 底ダメ100 裡門頂肘 400(90%) 底ダメ80 功程四拍 2000 底ダメ1000 カッティング・セブンカラーズ 2400(20%) 底ダメ1200 宝石剣ゼルレッチ 固定4000 各キャラの体力について (※アルカディアの情報を元に近々修正します。) CPU相手に投げをしつづけ、体力ゲージが半分になるまでの回数をカウント。 (投げの固定ダメージ400)×(投げた回数×2) 上記の方法で大体の体力値を算出する() セイバー 10500 衛宮士郎 ランサー 9600 ライダー 9600 バーサーカー 11500 ギルガメ アサシン 9600 キャスター 遠坂凛 9700 アーチャー 言峰綺礼 間桐桜 9200
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《体操服 レキ》 キャラクターカード コスト2/黄/CP3000/RANK1 【体操服】 ボーナスアイコン RANK+1 このカードが登場した場合、デッキからカードを1枚引く。 その後、手札1枚をデッキの下に移す。 落ち着いてください。 緋弾のアリアで登場した黄色・【体操服】を持つレキ。 登場時、カードを1枚引き、手札1枚をデッキボトムに移すテキストを持つ。 関連項目 レキ 収録 緋弾のアリア 01-053 C